休日分散化で得をするのは誰?

地域ごとにカレンダーの休日がバラバラになる「祝日法改正案」、
一体どこにメリットがあるのか?[GIGAZINE]

んー、なんだろう。どこから出てきたんだろうと思ったら観光庁。
あくまでも観光の観点からの意見だと思うんですが、厚生労働省的にはどうなんだろうと。

日本の休暇の現状を考えると、これより優先されることがあるような気がします。

資料に「実はコレ、フランス、ドイツ、フィンランドではやっている」ということが書かれているのですが、この3国は「有給休暇が年30日」だとか。これは世界でも長い方で、つまり長期休暇を自分の都合に合わせてまとめて取ることもできる国だったりします(時期は応相談でしょうけど、それが認められているということで)。

逆に日本は、年次有給休暇は10日。もともと法律で決まっている祝休日の数が多いからなのか、有給休暇の日数は世界で2番目に少ない。長期休暇を取ろうにもすでにある連休に有給休暇をくっつけることでしか取れない。

つまり、長期休暇が自由に取れる人が少ないからこそ、連休に旅行者が集中して、その結果、繁忙期の旅行代金が上がったり、高速が渋滞したりしてしまう。ってことは、単に休日の配置がどうこうではなく、日本の労働条件を改めるほうが先なのではないかと。

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気になることがもう一つ。

休日分散化の条件に「休日の日数は増やさない」と書いてありました。もちろん、国民の休日合計すればそれなりの休日数にはなるでしょう、見かけ上は。だから増やす必要はないというのは分かる。

でも、日本には「サービス残業」という言葉があるくらいに平日は当たり前に残業したりしている人が多いわけで、それを勤務日数に換算し直したら、休日数なんて何日かはそっくり相殺されるんではないかなと。そのうえ有給を消化しない人までいたら、実際には何日休んでいるのか怪しいものです。

それに対して、フランスやドイツ、フィンランドに「サービス残業」どころか、そもそも残業する人が少ない。それぐらいに考え方が違うのだから、休日数で比較するのが正しいのか?という気がしました。

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かつて、某派遣会社の女性社長が「過労死は自己責任であって、勤務時間や休日は自分で管理するものだ」という趣旨の発言をしていました。しかし、それを本当に許している会社・組織がどれほどあるのやらと。この派遣会社の社員はそんなに自由にさせてもらえるんなら、私も派遣登録したいけれど、評価が低くなったりしないんでしょうか・・・。心配です。

今勤務時間を管理できている自分は幸せだなぁ・・・と感じることが多いんですが、それは裏返せば「日本では珍しいこと」だからじゃないかなと。

・・・ ま、こういう働き方のせいで、誰かにご迷惑をかけているかもしれませんが、そう考えてしまう日本人が悪いのかな・・・。ここは、難しいところ、というかこれが日本独特の労働環境を作り出しているってことでしょうね・・・。

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もちろん、これらの国々がうらやましい。けれど、そんな国のシステムのごく一部である、連休を全国で分散化させるところだけを切り取ってくるだけでは、だめじゃないかなと思うんです。かといって、他の有給休暇の日数を同じようにすればいいということでもない(サービス残業は止めた方がいいけど)。

日本の労働の現状に合わせた、日本ならではのシステムがあるんじゃないかと。ぜひ、それを見いだして欲しいと思います。

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